土地建物の案分について

当社では土地建物の案分について記載しておりません。

よって不動産取引において土地建物の案文の件について、よく質問を受けますので

税務の基本的な考え方を以下にお伝えしておきます。


まず初めに、土地建物価額が売買契約書において合理的に区分されている場合は、その区分された価額に基づいて按分するとされています。

次に、土地建物価額が売買契約書で区分されていない場合は、合理的な按分方法で区分した価額により按分します。

この場合の「合理的な按分方法」とは
①譲渡時における時価の比率により按分する方法
②相続税評価額又は固定資産税評価額を基にして按分する方法
③土地及び建物の原価(取得費、造成費、一般管理費・販売費、支払利子等を含む)を基にして計算する方法
④不動産鑑定士の鑑定評価額を基にして計算する方法
などがあります。

この「合理的な按分方法」について税務署に説明が通ればどの方法を採用してもよいわけです。

しかし実務上は、①は客観的判断が難しく、②は原価の算定が困難、③は鑑定のため恣意性が反映されない、また費用が発生するなどから
②の固定資産税評価額による按分を採用することが多く取り扱われているようです。

こちらは市役所の公的証明の為、合理的な根拠になりやすいようです。

しかしながら、固定資産税評価額はリフォーム分を考慮しておりません。

固定資産税評価額は延べ床面積が増えない限り評価額には反映されず、一方他人に貸し付けるアパートの場合、実務的にはリフォーム(原状回復またはバリューアップ)を繰り返しています。

本来、リフォーム付加価値増加分が固定資産税評価額に反映されていない場合は、その増加分を建物価額に考慮させる必要があると考えます。

※評基通5(評価方法の定めのない財産の評価)

土地建物の価格は商取引ですのである程度、売買契約書で記載ができますが、売主と買主は利益相反の関係にあります。

売主が課税事業者の場合は建物価格が低い方が良く、買主は減価償却の都合上建物価格を高く望む方が多いです。

以上の点から不動産会社が土地建物価格の取り決めする場合、双方の税務処理の問題から不動産業務を超える場合があり、当社では取り決めをせずに取引をしております。

その為、度々お客様の顧問税理士様を通じてご質問を受けるケースもあります。

当社の取引方針(土地建物の内訳記載について)は以上の通りです。

多くのケースは固定資産税評価額での扱いとしているようですが、以下のサイトを参考にもできます。

▮「土地の現在価値時価相場当たり価格」についてお知りになりたい場合、

国土交通省の「不動産取引価格情報検索」以下のリンクより成約価格を調べられます。

https://www.land.mlit.go.jp/webland/

▮建物価格を算出したい場合、国税庁の「標準建築価格表」をご参考にもできます。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2021/pdf/O/O13.pdf

ご参考になれば幸いです。

尚、2023年10月1日より適格請求書(インボイス)制度が始まります。

インボイス制度が始まりましたら、契約書に記載するか、別途請求書発行する必要があります。またその際には土地建物の内訳を記載する必要があります。2023年10月1日以降は法律で定められるようになりますので、今後は全ての取引で記載されるようになると思われます。

インボイスについて詳細はこちらをご覧下さい。