実家の売却を検討されている方にとって、家財道具の片付けは大きな悩みですよね。
親の相続や生前整理等によって遠方の不動産を取得することになり、遺品の整理や不要品の処分が難しいという方もいらっしゃると思います。不要となった家具や家電などの生活用品は、処分するにもお金がかかるため、不動産の売却時にそのままの状態で売却できないかとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、この記事では不要品や残置物のある不動産を売却する方法はもちろん、不要品を処分する/しない場合のメリット・デメリットや不要品、残置物がある不動産を売却する時に知っておきたいポイントをお伝えします。
不要品や残置物のある不動産を売却する流れ
不動産を売却する場合、住宅に残っているものは基本的にはすべて売主が処分する必要があります。ただし、買主が承諾すれば、売主が所有権を放棄することで、不要品等をそのまま置いていくことも可能です。
しかし、トラブルになる可能性もあるため、注意点もあります。
ここでは不要品等の残置物がある不動産を売却する流れと注意点について詳しく見ていきましょう。
残置物の種類、量、状態を把握しましょう。家電、家具、衣類、書籍、ゴミなど、どのようなものが残っているのか、リストアップしておくと良いでしょう。
残置物があることを正直に伝え、複数の不動産会社に相談しましょう。経験豊富な不動産会社であれば、残置物の処理方法や売却時のトラブル回避について適切なアドバイスをしてくれます。
不動産会社に査定を依頼すると、残置物の影響を考慮した上で、物件の適正価格を算出してくれます。
査定に納得できたら、不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約には、媒介形態、媒介期間、報酬などに関する事項が記載されています。媒介契約の内容をよく理解した上で、署名捺印しましょう。
媒介契約を結んだ後は、不動産会社が売却活動を行います。チラシやインターネット広告などで物件を宣伝し、購入希望者を探します。
購入希望者が見つかったら、売主と買主の間で価格や条件などを交渉します。残置物については、撤去費用を誰が負担するのかなどを話し合う必要があります。
すべての買主が了承してくれるとは限りません。条件によっては買主が購入を辞退することもあります。不動産会社を通して十分に話合う必要があります。また、必ず書面での記録を残しましょう。
交渉がまとまれば、売買契約を締結します。売買契約には、物件の価格、引き渡し時期、残置物の取り扱いなど、さまざまな事項を記載します。
売買契約書には必ず下記のような条文を記載をしましょう。
- 引き渡した時点で残置物についての所有権は買主に移転する
- 残置物についての所有権が移転した後、買主は売主に対して処分費用や撤去費用についての異議申し立てを行わない
売買契約締結後、残置物の処理を行います。処理方法は、売主と買主、不動産会社で合意した方法で行います。
引き渡し後は残置物の所有権も買主に移転するため、引き渡し後に残置物には触れられなくなります。残しておきたいものなどがあれば必ず引渡し前に整理しましょう。
売買代金全額を受け取ったら物件を引き渡します。引き渡し前までに契約で定めた通りに残置物を処理しておく必要があります。引き渡し前までに間に合わない場合は、引き直しの1週間程度前に仲介の不動産会社に相談しましょう。
不要品を残したまま売却するメリットとデメリット
- 手間と費用が省ける
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不要品を処分する手間や費用、ハウスクリーニングの手間も省けます。
- 早く売却活動を開始できる
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不要品の処分に時間がかかる場合、売却時期が遅れる可能性があります。残したままにすることで売却活動を早く始められ、早期売却に繋がる場合があります。
- 買主によっては不要品を希望する場合もある
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DIY好きの買主にとっては、不要品を活かせる可能性があり、メリットとなる場合があります。例えば、ヴィンテージ家具や家電など、買主によっては価値のある不要品を希望する場合もあります。
- 売却価格が下がる
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不要品があることによって、売却価格が下がる可能性があります。
- 悪印象を与える
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不要品が残っていると、物件の印象が悪くなり、買主が見つかりにくくなります。
スムーズな売却を実現!不要品処分の賢い段取り
時間がかかっても少しでも高く売却したいという方にとって、売却前に不要品を処分することは有効な手段の一つです。いざ片付けようと思った時に役立つ、2つの方法とその選び方について解説します。片付ける量や状況によって、自分に合った方法を選ぶことが重要です。
自分で処分する
時間と労力に余裕がある、片付ける量が少ない、費用をかけたくない方は、自力で片付けることも可能です。メリットとデメリットは以下の通りです。
- 費用を抑えられる
- 思い出の品を整理できる
- 不要品を有効活用できる
- 売却までに時間がかかる
- 体力が必要
- 親族間でのトラブルが発生する可能性がある
処分する流れ
まず、処分する不要品を種類ごとに仕分けましょう。自治体の粗大ゴミ回収で回収できるものと、回収できないものに分けると、後の作業がスムーズに進みます。
仕分けが終わったら、それぞれの不要品をどのように処分するかを決めましょう。自治体の粗大ゴミ回収を利用する場合は、回収日や申し込み方法などを確認します。
回収日が決まったら、不要品を指定の場所まで搬出します。自治体の粗大ゴミ回収の場合は、収集場所に運びます。
自分で処分する際の注意点
- 違法行為に注意する
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不要品を捨てる場合は、許可されていない場所に捨てることは絶対にやめましょう。
- 分別を忘れずに
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自治体によってごみの収集ルールが異なります。収集ルールは事前に把握しましょう。
- 近隣トラブル
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騒音や振動、異臭などにより、近隣住民に迷惑をかけてしまう可能性があります。事前に近隣へ挨拶するなど、配慮が必要です。
- けがには注意!
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重たい家具・家電などを運ぶ作業は、体力的負担が大きくなります。無理のない範囲で行いましょう。
- 個人情報の取り扱いに注意する
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貴重品や個人情報が記載された書類、相続に関する書類が出てくる可能性もあります。見つけた場合の保管方法についてなどは事前に親族で話し合いをしておきましょう。
業者に依頼する
仕事が忙しかったり遠方に住んでいたり、なかなか自分たちの手で片付けるのが難しい場合は、業者に依頼することも検討しましょう。不要品や残置物を処分する際に利用できる業者は大きく分けて2つあります。どちらも手間を省くことができますが、それぞれの特徴を良く理解して選びましょう。
不要品回収業者
不要品回収業者とは、住居内の不要品を回収してくれる業者です。場合によっては不要品の分別作業を請け負ってくれるため、ご自身で分別する必要はありません。ただし、基本的には遺品整理は行わないため、故人の思い出の品まで処分される可能性があります。作業前にはご自身で必要なもの、不要なものを分ける必要があります。また、不要品の回収のみを行う業者が多いですが、清掃も行うことができる業者が存在します。複数社から見積を取り、料金やサービス内容を比較し自分に合った業者を選びましょう。
必要なものと不要なものに分ける作業はご自身で行いたい方、撤去したい残置物が多い方、ごみの分別にかかる手間と時間を節約したい方におすすめです。
遺品整理業者
遺品整理業者とは、亡くなった方の遺品を整理する専門業者です。遺族に代わって、遺品の仕分け、貴重品の捜索、不要品の処分、ハウスクリーニング、遺品の供養などを行います。遺品を故人との思い出や価値などを考慮しながら、供養する品、形見として残す品、処分する品などに仕分けします。遺品整理を代わりに行ってくれるため、遺品整理の手間を軽減できます。
また、遺品整理のプロである遺品整理士が在籍している場合、効率的な遺品整理だけでなく、気持ちの整理に関するアドバイスや相続についての相談に乗ってもらえる可能性があります。
ただし、全てを遺品整理業者に任せるため、費用面については部分的に任せる不要品回収業者よりも高くなる点に注意が必要です。
遺品整理業者を選ぶ際には以下の点に注意しましょう。
- ホームページを見て実績などを確認し、経験豊富な業者を選びましょう。
- 遺品整理士の資格を持つスタッフがいる業者を選びましょう。
- 複数社の見積もりを比較し納得のいく業者を選びましょう。
- 明確な金額、細かいサービス内容を提示してくれる業者を選びましょう。
資格を持たずにずさんな作業を行う悪質な業者も存在します。作業中に貴重品が出てくる可能性もあります。必ず比較検討し、信頼できる業者を選びましょう。業者選びに不安があれば不動産会社や弁護士など、第三者へ一度相談してみましょう。
場合によっては特殊清掃も
孤独死や生前の住居整理が困難だった場合など、住居が著しく損傷し、特殊な薬剤や道具を使用した消臭、害虫駆除、掃除が必要となるケースがあります。このような場合は、一般的なハウスクリーニング業者ではなく、特殊清掃業者に依頼する必要があります。特殊清掃業者は、遺品整理や形見分け、残置物の回収・処分に加え、特殊な薬剤や道具を使用して効率的に部屋を清掃します。ただし、特殊清掃が含まれるため、費用は高額になる点に注意が必要です。
よくあるトラブル
負担をめぐるトラブル
- 状況
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- 遠方に住んでいる他の相続人が遺品整理や売却活動に一切参加していない。
- すべての作業を自分が担当しているにもかかわらず、売却益の折半に納得がいかない。
- 解決策
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事前に話し合いをしておかなかったことが原因です。
残置物の処分を行う前に、電話やビデオ通話などで、遠方に住んでいる相続人と直接話し合いましょう。話し合いが難しい場合には、弁護士などの第三者に相談しましょう。
知らないと損する!残置物がある不動産の早期売却方法 2選!
残置物のある不動産売却の流れ、不要品の処分方法についてご紹介しました。なかには「すぐにでも売却したい」「残置物処分に時間がかかってしまう」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで不要品回収業者等に依頼をする前に知っておきたい、残置物があってもできる早期売却の方法をご紹介します。
不動産会社の買取
個人の方に買ってもらおうとすると、購入後そのまま住み始めたい場合が多いことと、残置物がある状態を目にすると生活感等を感じ、あまり良い印象を持たれないケースが多い為、売却完了までに時間がかかります。
その点不動産会社の買取は、個人に売却する場合とは異なり、残置物があっても基本的にそのまま買取を行いますので早期売却が可能です。
バーチャルステージングを利用する
バーチャルステージングサービスとは、お部屋の画像に家具や小物をバーチャルで配置し、室内のコーディネートや暮らしのイメージを演出するサービスです。CG技術を用いて空室に家具やインテリアを配置し、まるで実際に家具が置かれているかのような画像を作成することができます。お住まい中のお部屋であっても、家具等を取り除いた空室を再現し、買主が暮らしのイメージを具体的に想像できます。
バーチャルステージングを利用することで、残置物を処分する前に売却活動を開始することができます。ただし、バーチャルステージングを利用した場合でも、引き渡し時には残置物の処分が必要となるケースが多いです。買主との間で残置物の取り扱いについて話し合いが必要となる場合があることを念頭に置いておく必要があります。
残置物の処分に時間がかかる場合や、費用負担が大きい場合などは、バーチャルステージングを検討してみるのも良いでしょう。
ポータルサイト等で「バーチャルステージング」前後の画像を掲載することで、お部屋が空室の時、家具を設置した時それぞれのイメージを見れるため、購入検討者に購入後のイメージを持ってもらいやすくなります。
物件を購入検討している方の多くは、ポータルサイト等で良い印象を持ったまま現地見学に訪れます。ところが、実際に現地を見てみると、期待していたイメージと大きく異なり、落胆してしまう可能性があります。これを防ぐ為に現地にも各部屋にバーチャルステージングの画像を置いておく等の工夫が必要です。
まとめ
残置物がある不動産売却は、時間や手間、費用がかかり、煩わしいと感じる方も多いでしょう。しかし、適切な方法を選択することで、スムーズな売却と賢い処分を実現することができます。
本記事では、残置物のある不動産を売却する流れ、不要品を残したまま売却するメリットとデメリット、スムーズな売却を実現する賢い段取り、よくあるトラブル、早期売却方法などを詳しく解説しました。
残置物のある不動産売却でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。